1.ある村人の意見

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 今日も村長に呼ばれた。律儀なやつだ。だが、こうでないとどこまで可笑しなことをされるか分かったもんじゃない。  動きやすいようにジャージを着ていて正解だった。中央公園なら歩いても10分はかからない。  誰もいない一軒家に鍵をかける。今日は晴れていてよかった。  家の裏の道を真っ直ぐ下り、開けた空間を横にはしる広い道路を渡る。目の前には街の明かりが煌めいている。  さらに右側にある急な下り坂を進むと、少し整備された遊具が3つある中央公園に着いた。  すでに村人が数人集まっていた。中には中学生くらいの少年たちがジャングルジムに登っていた。この時間に外に出て、親に怒られないのだろうか。  後ろから声がかけられた。  「先輩、お疲れ様ですぅ。10分前に着いてるなんて、さすがですぅ。」  「お疲れ、パレル。家から近いだけだよ。それより、あそこの制服の学生、ちゃんと親に許可取ってきてるのか?」  「大丈夫じゃないですかぁ?みんな意外と村長さんのルールに従ってますしぃ。」  少し心配ではあるが、パレルの言う通り、思っていたよりも文句が少なく違反者はまだいない。  先日、仕方なく村長が学生へ新しいルールを設けた。  学生は保護者と相談し、互いの一致する時間の外出を禁ずる。一致しない場合は、23時から4時は外出禁止とする。  小学生は児童だから注意なのだそうだ。
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