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「……保護されなければ生きられない、来世にかける、悪夢等言いながら斬れと……しかし、その後生きていたかったと言っておりました」
「意味がわかんねぇな」
そう副長が相槌を打った瞬間、転がっていたソレから声が上がった。
「…………ーぁッつ」
俯せから横向けになるよう蠢き、大きく息を吐いたかと思うとうっすら目が開いた。
苦し気に喘ぎ、潜められた眉、視線はさ迷い、それに捉えられたのは一番近くにいた俺。
「……ミズ、……イ」
そして掠れきった声が発せられ、倒れた原因に気付いた。
……暑気あたりだったのか。
「飲みさしだがこれでも飲ませておけ」
副長も悟ったのか、脇に置いていた湯飲みを面倒臭そうに渡された。
起き上がらないソレの半身を起こしてやり、口許に持っていってやれば喉を鳴らし飲んでいく。
ーが、
「……モット」
足りなかったのか尚も要求してきた。
「チッ……斎藤、井戸にでも連れていけ」
「……承知しました」
またも身動ぎもしなくなったソレを抱え、俺は井戸に向かうべく部屋を出た。
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