奇妙な女子

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秋野が紡ぐ話を誰も止めない。 ……新撰組と言いながら壬生浪士組と言うのは、いつかその名に変わるというのか? ……副長と沖田の名が有名と、だが鬼と仏がせっと、そのせっととは何だ? ……剣豪として俺の名まで残るというのは嬉しく思うが……本当なのか? それは誰もが一つ一つの事柄を頭で反芻し、噛み砕き理解しようとするが答えが出ないからかもしれない。 「……後、藤堂さんは背は小さいけど魁先生と呼ばれるほど先陣をきる人だとか、原田さんは槍の名手だとか……あ、もういるか知らないけど天才といえば観察方の山崎さんも有名だから」 沈黙と戸惑いが続く中、秋野は話を続ける……何故か見事なまでに淡々とした口調で。 「ちなみに土方さんが多摩のバラガキだとか、近藤さんからはトシと呼ばれてるとか、趣味とかも伝わってるよ。……ね、豊玉先生?」 「ーッ!?」 副長が息を詰まらせ腰を浮かしたのを見て、俺は警戒を露に刀に手をかけた。 だが、次の瞬間 「あとはそうだね。 …………斎藤さんが藩士を殺「やめろ、斎藤!」ッ」 思わず刀を抜いていた。 それを振るいきる寸前で止めたのは副長の声だった。
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