卒業裏文集

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「これ、本気でやるんだね」 ガラスのローテーブルの上に置かれたA4のプリントを眺めて思わず苦笑いが漏れる。 昼休みに教室でこっそりと配られたプリント。 クラスの中でも目立つグループの女子達が話題にしていたのは知っていたけど。まさか本当にやるとは思わなかった。 「なんだ、思ってたより普通じゃん」 この部屋の主である黒縁眼鏡の男は、プリントに目をやりながら、椅子からこちらに移動してきた。そして隣に腰掛け、小さく笑う。 閉じられたダークグリーンのカーテンの隙間から西陽が射し込む。いつもどおりの雑音のない二人だけの空間はやはり心地良い。 「どんなの想像してたの?」 「んー。もっとエグいやつ。だってあの辺の女子、いっつもそういこと話してるし」 私もあの子達が、休憩や放課後に彼氏との体験談だの合コンでの話だの赤裸々に話しているのを聞いたことがあった。 それが結構生々しくて、教室で、しかも女子が話すような話ではないと思っていた。 女の見栄か自慢か。何にせよ、大声で話すものだから離れていても聞こえてしまって少し迷惑なほどだった。
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