卒業裏文集

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「さすがに、クラスメイトの平均を考えたんじゃない?」 「俺や愛梨みたいなのとの平均?」 「そうそう。みんなが恋愛至上主義ってわけじゃないし。 教室の隅でいつも参考書読んでる優等生や休みがちでほとんど喋らない地味女でも書けるような内容で考えてくれたんじゃない?」 中心メンバーにはもちろんギャルっぽい子が多いけど、中にはきちんと常識をわきまえた子だっている。 この設問を見る限り、そっち側の子がこのようにしたのだろうと予想がついた。 「ホントは特定の奴の回答しか興味ないくせに?」 「全員に書かせるっていう事実が必要なんだよ。その特定の相手のを読むためには」 「クラスの隅にいる俺らはあくまでダシでしかないってことか。 伊達に陰でガリ勉メガネって呼ばれてるわけじゃねぇな」 譲二は可笑しなことだと言うようにくくっと口角を上げた。
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