卒業裏文集

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「そう言う自分こそ。どこが地味女?」 彼はクスクスと笑い、慣れた手つきで私の長い髪に指を通してそれを耳に掛けた。そのまま耳をつたい、大きな手の平が私の頬を包む。 「もう。今はダメ。先にこれ書かなきゃ」 「自分が誘ったくせに」 譲二の視線は私の手の眼鏡にあって、ハッとした。 「これは別に誘ったわけじゃな……」 「はいはい。じゃあ後でね」 そう言いながら彼はもう一度眼鏡を掛ける。そしてプリントに視線を戻し、ペンを手に取った。 何の迷いもなく、さらさらと進むペン。 何を書いているのだろうと覗き込もうとすると譲二はこちらを向いた。 「見てもつまんないよ。主催者の希望通りのことしか書かないし」 「ガリ勉メガネとしての模範解答?」 「そうそう。ちゃんとつまんなくなるように頑張らないと」
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