181人が本棚に入れています
本棚に追加
書いて欲しい気持ちと書いてはいけないと思う気持ち。
どうしたものか……。
「誰を書いて欲しい?」
譲二は私が悩んでいることを承知で返事を催促してくる。
からかってるだけ?
それとも、譲二はそれでもいいって思ってるってこと?
だったら我慢したくない……。
「……書いてよ。私って。小野愛梨を恋人にしたいってちゃんと書いて」
悩んだ末の選択と言えば聞こえはいいけど。結局女の見栄というものがこっちの私にもあったらしい。
最後だからこそやっぱりちゃんと言ってほしい。
所詮みんなの反応は「へー、あのガリ勉と地味子が両想いだったんだ」って程度だろうと思うけど。だけどそれでも構わない。
私の返事を聞いた譲二は少し驚いた顔をして、プリントを私から隠すようにして何も言わず再びペンを走らせた。
少しして彼は私の前にプリントを広げた。
「これで満足?」
最初のコメントを投稿しよう!