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『はい、妖狐には七つのランクがあります。下から、黒狐、銀狐、金狐、白狐、九尾の狐、天狐、空狐。ランクが上がるごとに尻尾が外れ、最終形態は尻尾が全て外れた《空狐》と呼ばれる神になるのです。ちなみに神社などで奉られている狐は違いますからね、あれは白狐です』
魔淫は小さな四本の尻尾をフリフリ振って見せた。
『今あるこの四本の尾、これが外れたとき、私は神になります』
カウチから降りた銀狐は、とてとてと美桜の傍まで寄って来て、ペロリと美桜の手を舐めた。
「か、神って、そんなこと……、うっ、でも……か、可愛い……」
魔淫の話す内容が、余りにもとっ拍子もない内容だったので、美桜の頭は許容範囲を超えパンク寸前。でも、自分を見上げる小さな子狐魔淫の大きな蒼い目、そして手を掠める柔らかな毛並み――。
実は、美桜は小動物にめっぽう弱い。
小さい生き物を目に入れてしまうと、もうハグしたくて体中がうずうずする。
そう、目の前の子狐魔淫なんて美桜のハグしたい欲求中枢を、激しく刺激する存在なのだ。
なので、愛らしいその姿に、美桜は思わず動きを止めて見入ってしまう。
初めはびくびくと子狐魔淫を見ていた美桜だったが、見ているうちに魔淫の術中に嵌ってしまったようで。その小さな愛らしい姿に、美桜は視線が外せなくなっている。
驚きながらも瞳はとろーん、頬にはうっすらと紅を刷き、ほわわーんとした甘い笑みが唇に浮かんでいた。
それも、ヨダレが垂れそうな勢いで。
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