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自分が死んでゆくその感覚はとてもリアルなもので、美桜は何度も何度も夢の中で、強制的に生と死を体感させられていた。
それはひどく苦痛を伴い、急速に精神が疲弊し侵され――自我が崩壊しそうな錯覚さえ覚える。
(皆まだあんなに小さな子供だったのに、なんで……なんで殺されないといけなかったの!? ひどい、ひどい……なんで)
そんな疑問が頭をよぎるが、夢は壊れてしまったプレーヤーのようにストップされず、エンドレスで流れ続ける。
美桜はもう、そんな悲しい映像は見たくなかったのに、止められなくて。
流れ落ちる涙をそのままに、美桜はまた、違う自分になる。
新たな人物の記憶の断片が、渦を巻く濁流のようにして、美桜へと再び流れ込んできたのだ。
その記憶は美桜の魂の核たるものだった。
大人の姿をした、初めての自分。
そして、視界がぱあっと拓け、また映像が広がった。
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