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『十二天将の騰蛇さまに、炎の使い方を教わりました。まいんは炎の属性を持っているので、今から鍛錬をしたら、きっと晴明さまのお役に立てるようになるって、騰蛇さまはそう仰ってくださいました。まいんは、大好きな晴明さまのお力になりたいのです』
自分の腰帯を、まいんはギュウッと掴みながら必死で言い募る。
自分の胸に湧き上がる思いは、きっと我が子を見つめる父親に近いものなんだろう。
『それと見てください! 天后さまに、これをいただきました』
そう言って、まいんは小さな掌を差し出した。
その掌に乗っていたものは、白い貝殻の薬入れだった。
『ほう、いい物を貰ったね。まいんはよく怪我をするから、天后も心配なんだろう』
遊びに出かけては、切り傷やら擦り傷をこしらえてくるまいんの姿を思い出して、フフッと苦笑いが浮かんでしまう。
『だって騰蛇さまがお稽古の時、ぼくの尻尾を燃やしっちゃったんだもの』
ほら、とまいんは尻尾を向けて自分に見せた。
確かに九本とも、尻尾の先っちょが少し焦げてしまっている。
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