一ノ章 天狐・魔淫

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『プッ、騰蛇には私からちゃんと言っておくから、許してやっておくれ』  その焦げてしまった尻尾に、掌をかざす。  すると、掌から蒼い光が溢れ出し、みるみる傷が癒えていった。 『ほら、もう痛くない』 『うわあっ、ありがとうございます! 晴明さま!!』  まいんの大きな目は笑みの形に変わり、自分を見つめる。  満面の笑みを浮かべるまいんの頭を、大きな手で撫でてやった。  そうすると、まいんは嬉しそうに微笑みながら、ゆっくりと瞳を閉じた。  まいんの笑顔が大好きだった。  いつも全力で飛び込んでくる、この小さな身体を抱きしめるのが、大好きだった。  抱きしめると、暖かなお日様の匂いがした。  大事な子だった。  大切な、自分の養い子。  母である葛葉明神の今は亡き姉の子、自分とは従兄弟にあたる、まいん。  自分の血族であるこの子が、誰よりも愛しかったのだ。  なのに、自分はあの時、最後の闘いでこの肉体が滅ぶ瞬間。  ――――愛しいまいんに……あたしは何を言った――――?
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