438人が本棚に入れています
本棚に追加
『プッ、騰蛇には私からちゃんと言っておくから、許してやっておくれ』
その焦げてしまった尻尾に、掌をかざす。
すると、掌から蒼い光が溢れ出し、みるみる傷が癒えていった。
『ほら、もう痛くない』
『うわあっ、ありがとうございます! 晴明さま!!』
まいんの大きな目は笑みの形に変わり、自分を見つめる。
満面の笑みを浮かべるまいんの頭を、大きな手で撫でてやった。
そうすると、まいんは嬉しそうに微笑みながら、ゆっくりと瞳を閉じた。
まいんの笑顔が大好きだった。
いつも全力で飛び込んでくる、この小さな身体を抱きしめるのが、大好きだった。
抱きしめると、暖かなお日様の匂いがした。
大事な子だった。
大切な、自分の養い子。
母である葛葉明神の今は亡き姉の子、自分とは従兄弟にあたる、まいん。
自分の血族であるこの子が、誰よりも愛しかったのだ。
なのに、自分はあの時、最後の闘いでこの肉体が滅ぶ瞬間。
――――愛しいまいんに……あたしは何を言った――――?
最初のコメントを投稿しよう!