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「私の名は魔淫(まいん)。狐の妖怪・天狐でございます。我が主、安倍晴明様の生まれ変わりである美桜様。平安の世で交わした盟約にのっとり、これより先は貴方が私の主となるのです」
魔淫、と名乗った美青年は、美桜の目の前で膝を折り、頭を垂れた。
礼? を尽くされた美桜はと言うと。
「え? き、狐の妖怪? 安倍晴明? はあ? すいません、そういうのは、間に合ってますんで……あはは、……ごめんなさいっ!」
コスプレ衣装といい、恐らく電池式の尻尾といい、これはきっと何かの新興宗教の勧誘だ。
そうに違いないと美桜は決め付け、魔淫と名乗った青年を、その場に残してダダダッと走り出した。
触らぬ神に祟りなし、である。
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