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「悩む必要ないじゃないですか。
こんなにも素敵なのに」
「…え?」
まっすぐとこちらを見ながら言う倉田さん。
一体何を…
「こんなにも素敵なのに、辛く思うことないじゃないですか」
また倉田さんは言う。
「私はもう、キョウコみたいな綺麗な顔をしていない。
素敵だなんて嘘は…やめてください」
「…」
「…」
沈黙が続く。
ほら、やっぱり否定できない。
私はキョウコじゃない。
綺麗じゃないカオリは必要とされない。
――帰ろう。
こんな私がこれ以上ここに居ても、倉田さんに迷惑なだけだ。
そう思って、席を立とうと足に力を入れたとき、倉田さんが口を開く。
「まだキョウコさんがclub Cristalに入店して間もない頃、お店で僕と再会した時の事を覚えていますか?」
そう言われて、clubCristalに入店した頃の事を私は思い出す。
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