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「僕、あの時に言いましたよね。
“今のキョウコ様も、1年前のキョウコ様も、とても素敵です”と。
あの時から9年が経ち、キョウコさんの仮面を取ったアナタを見ても…今もその気持ちは変わっていません」
「確かにキョウコさんは綺麗でしたし、洗練されていて、気も使える素敵な人です。
そして今のアナタは見た目はキョウコさんのようではありません。
しかし、そんなことをどうでもいいと思わせるほどに、素朴で純粋で、心の綺麗な素敵な人です」
「…」
言葉が出ない。
「ただ、アナタは自分を卑下しすぎなんです。
もっと自信を持ってください。
僕はあなたの前では嘘をつきません。
今のアナタを見て、本当に素敵だと思ったんです」
「…」
…だめ、それ以上言葉を続けないで。
それ以上続けたら私…
「キョウコさんじゃなくてもいいじゃないですか。
そのままのアナタでいいと僕は思うんです」
ほら、涙が止まらなくなるから。
震えて泣くことしか出来ない私の頭を向かいに座る倉田さんは優しくポンポンとしてくれた。
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