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会社を辞めて数ヶ月、私は家でニート生活を送った。
その間にフランスに遊びに行って、マナミちゃんに会いにいったりもした。
元気そうに、キャバクラ時代よりもイキイキと過ごすマナミちゃんは本当に輝いて見えた。
そのことを倉田さんにメールで報告する。
キャバクラを辞めてからしばらくは数人のお客様とメールをしていたが、店を辞めてから5年経っても私にメールを送ってくれるのは倉田さんだけとなっていた。
いつか、倉田さんとも連絡を取らなくなるのかな?
…うーん、ちょっと淋しいかも。
倉田さんにメールを送った私は携帯を机の上にポイと置いて、気分転換に散歩へと出かけた。
――これからどうしよう。
夕暮れの町を一人で歩きながら、ぼんやりと考える。
正直、キャバクラ時代のお金もあるし、このまま10年くらい働かなくてもやっていけそうな気はする。
でもそれでは私は誰にも認めてもらえないし、誰も私の存在を気付いてくれない。
やっぱり私はカオリとして、誰かに必要とされたい。
カオリとして、働きたい。
「よっし、やっぱり働こう!!」
歩きながら思わず叫んでしまい、周りから変な目で見られる。
走ってその場から離れた。
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