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私は両親の写真をもう一度眺め、そのままホームセンターへ行って太めのロープを購入してきた。
これで私は逝ける。
キョウコじゃなくても、カオリである私を丸ごと全て受け入れてくれる人――両親の元へ。
もうこの世では私を必要としてくれる人も認めてくれる人もいない。
「キョウコじゃなくていい。
そのままのカオリでいいんだよ」
そう言ってくれる人は両親以外、誰もいないんだ――
泣きながら私は家の梁に縄を巻きつける。
これでいいんだ。
これで私は…やっとキョウコじゃなくなるんだ。
服の袖で涙をぬぐい、ぎゅっと唇をつむぐ。
よし、逝こう――
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