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倉田さん、ごめんなさい。もう連絡はしないでください――
倉田さんなら、私が言えば絶対に連絡してこないだろう。
そう思って返信しようとしたら、まだメールには続きがあった。
<<あと1つお願いがあるんです。
もしキョウコさんがよければ今度の日曜日にお会いできませんか?
嫌がられるかもしれませんが、今度はキョウコさんとしてではなく…。
初めて出会ったときのような、化粧をしていないあなたに会いたいんです。
キョウコさんという仮面を外した、本来の姿のあなたを僕に見せていただけませんか?
そうすれば、抱える疲れや悩みも少しは解決できるような気がするんです。
生意気なことを言ってすみません。
気に障ったならこのメールは忘れてください。
倉田>>
本文を見て、私は槍で心臓を一突きされたような衝撃を受けた。
化粧をしていない、キョウコじゃない、私と、会いたい…?
本来の、私を、見たい?
眩暈がする――
キョウコに惚れてる倉田さんに化粧をしていない私が会うなんて。
キョウコが好きな倉田さんがキョウコでない私に会ったら…きっと倉田さんは私に幻滅するはずだ。
はは、バカらしい。
わざわざ嫌われるために行く必要はないだろう。
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