第28話 相変わらずな日常

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 Jが俺に指を向けてくる。 「逆に問うが。お前、腹立たへんのか?」  俺は首を傾げた。  腹立つ? 「そや。一方的に向こうの都合のえぇようにコキ使われて腹立たへんのかって聞いとるんや。俺らは使われるだけの機械やない、生きた人間や。よー思い返してみ。最初はバーチャル・ゲームみたいで面白(おもろ)かったやろ?」  うーん……。  俺は腕を組み、眉間にシワを寄せて唸った。  まぁたしかに……そう言われてみると最初は楽しかった気がする。 「あの世界は誰かが創ったゲームの世界や。それに俺らは巻き込まれた。向こうが利用するつもりでいるなら、こっちもこっちで思いっクソ利用して遊んでやろうやないか」  Jが手首のミサンガを指し示す。  真似るように結衣もEも手首のミサンガを見せて頷いた。 「その為に俺たちでギルド作るって言う──あ。アカン、もうこんな時間や」  ミサンガと一緒につけていた腕時計を目にしたJが、焦るように椅子から立ち上がる。  え? もう帰るのか? 「午後から仕事行くって職場に言うてんねん」  その言葉に結衣がポケットから携帯を取り出して時間を確認する。 「あ、ほんとお昼だ。ご飯の時間だし、ご飯の邪魔になるだろうからあたし達も帰るね」 「お邪魔しましたー」  え、あ、ごめん。みんな。ありがとう、見舞い。  結衣が手を振る。 「また見舞い来るね」 「ちゃんと寝てくださいね」 「とにかくもう無理すんなや」  うん、わかった。――あ!  俺は何かを思い出して三人を呼び止めた。  三人とも足を止めて振り返る。  一つ聞きたいことがあるんだけど。
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