第28話 相変わらずな日常

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 俺は目を瞬かせつつ、時を止める。 「あの、体……もう大丈夫?」 「あれからみんな本当に心配したんだからね」 「今度から気分悪くなったら我慢せず遠慮なく私に言ってね。席、隣だし」 「私、保健室係だから何かあったらすぐに言って」 「無理しないでね」 「みんな無関心なわけじゃないんだからね」 「一人はみんなの為に。みんなは一人の為に。このクラスの心は一つだから。それを忘れないで」  あ、はい……。  クラスの女子からの意外な言葉だった。  みんな本当に俺のこと心配してくれていたんだなと改めて思う。  そう思うと俺は自然と口元が綻んだ。  ありがとう。ほんともう大丈夫だから。  女子たちも伝えたい事が言えて安堵したのか、気恥ずかしそうに頬を染めて笑い、その後、女子同士で身を寄せ合ってグループになり、きゃいきゃい言いながら機嫌よく席に戻っていった。  すると、ダチの福田が俺の隣で陰気にぼそりと言ってくる。 「やっぱりUMAはUMAか」 「MOUMAか」  MOUMAってなんだよ。 「なんか拝むよりマジ蹴りした方がご利益ありそうだな」 「……よし、みんなでUMAを蹴ろう」  はぁ!? 「よし、蹴ろう」 「蹴った分だけ幸せになれるはず」  何の迷信だよ、ふざけんな! あ、クソ! やられたらやり返すからな! このッ、くぬっ、痛ッ、いてぇっ! マジ蹴りやめろ、数多いだろうが! 俺だけ不利じゃねぇか!  教室に担任が入ってくる。 「席つけ。ホームルーム始める。――そこの仲良し集団、遊ぶなら次の休み時間にしろ。早く席つけ」
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