第28話 相変わらずな日常

9/9
51人が本棚に入れています
本棚に追加
/305ページ
 ※  学校が終わり、その帰り道。  俺と上田は公園のベンチで腰掛けて話していた。  上田が朝倉のことで相談してきたのだ。  深刻な顔で相談してくる上田に、俺は今頃になってようやく朝倉の異変に気付いた。  上田が俺にぼそりと言ってくる。 「――どう思う?」  ……。 「朝倉の奴、マジでヤバくなってきている。オレもたいがいゲーマーだけどさ、あそこまでいくとさすがに……」  飯、ちゃんと食ってた感じだったか? 「飯どころか寝てないんじゃないかって思う」  そんなにヤバイのか? 「……」  俺の問いかけに上田が無言で頷く。  ……。  しばらく間を置いた後。  俺は静かにベンチから立ち上がった。  そして見上げてくる上田に、俺は真顔で告げる。  なぁ上田。俺たち、朝倉のダチだよな? だったら手を差し伸べてやるのもダチなんじゃないかって思う。朝倉にどう思われようと、俺は朝倉をこのまま見捨てることなんてできない。  ガタリと。  上田が勢いよくベンチから立ち上がる。力むように拳を握り締めて、 「だ、だよな? オレもダチだからさ、朝倉をこのまま放っておくことなんてできない。みんなで一緒に進級したいし、卒業もしたい。――よし! なんとしてでも朝倉を学校に登校させようぜ」  決まりだな。  微笑して。  俺は上田に向けて右の拳を軽く突き出した。  上田が俺の拳に軽く拳を当ててくる。  今から朝倉の家に行こうぜ。 「おう!」
/305ページ

最初のコメントを投稿しよう!