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2022/05/08 14:16
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家の玄関ドアと思わしき、古くなった木材のドアをそっと押し開けて。
俺はまず顔だけを外に出して周囲の様子をうかがう。
傍から見て俺はかなり怪しい人物だと思うが、用心の為なので仕方ない。
たしかにリグさんの言う通り、砂漠なのに豊かな自然がそこにあった。
木は緑緑と生い茂り、牛やニワトリなどの家畜も野放しで、果実も実っていて、花も咲いていて、充分な木陰もあって、気温も風も穏やかで。
ここに村が在るのも納得である。
砂漠にぽつんとある小さなオアシスといったところか。
町というほど広くはなく、寂れるほど小さくもない。
南国風の田舎の村のようなところだった。
どれも似たような白い石造りの家々。
人々も穏やかで、少し活気のある村のようだった。
そういえばリグさんが近い日に洗礼式があるとか何とか言っていた気がする。
家の周囲やあちらこちらに祭りのような艶やかな花飾りと色とりどりの小さな旗が紐でつながってぶら下がっていた。
楽しそうな笑い声と歌、そして褐色肌の子供たちがパンツ一丁で走り回っている。
俺、夢でも見ているんだろうか……。
そんなことを呟くと、おっちゃんが頭の中で答えてくる。
『魚、食べてみるか? 現実味があって美味いぞ』
いや、いい。いらない。
俺はそういう現実を求めているのではなく、ハッキリとした実感を求めているんだ。
『ならば外に出て現実を確かめるまでだ。
そこでのぞいていたって何も分かるはずもない。
カルロスを見ろ。元気に飛び出していったじゃないか』
あれは別。あんな奴と一緒にしないでくれ。
『まぁ用心するに越したことはない。
見ろ。向こうに一人、白騎士がいる』
こっちにももう一人いる。
あの白い鎧の格好、きっと白騎士だ。
『お前の注意力もここに来てようやく慣れてきたな。
ならば、その白騎士の中で一番高級そうな白い鎧と、高級そうな剣を腰につけたマント付きの白騎士を見つけたら気を付けろ』
なんで?
『階位を持っている奴だからだ。
そんな奴に見つかればあっさりと素性がバレるかもしれん。
すでに俺たちはディーマンに色々とバレてしまっているからな。
その情報網を甘く見ない方が良い』
わかった。気を付ける。
頷いて。
俺はそういう白騎士が居ないことを確認してから、ゆっくりと家の外へと体を出した。
2022/05/08 14:55
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