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今日は診療所の休診日。
なので、もぐらはゆっくり休養でもするのかと思いきや、
とある小さな公民館にいた。
地域住民からも慕われているもぐらは、週に一度、この公民館を厚意で貸してもらっていた。
この時だけは、公民館は『もぐら道場』となる。
師匠は、もちろんもぐら。
弟子は…。
「今日こそ僕がもぐらさんに勝って、もぐらさんを手に入れてみせるよ。」
「無理に決まってんだろ?あたしがもぐらさんに勝つんだから。そして、もぐらさんと…。」
真琴と亜衣がいつものように言い合いをしている。
呆れたように口を挟むもぐら。
龍一:「勝手に変なルール作るなよ。
別におまえらが勝っても、俺はどうもしないからな?
…まあ、おまえらじゃあまだ俺には勝てないよ?
何なら二人がかりでもいいよ?」
最初は、あの兄妹に稽古をつけて欲しいと頼まれて、週一回公民館まで借りて相手してやろうと思っていたのだが、なぜか目的がすり替わっていた。
「お兄ちゃん~♪頑張って~♪」
龍一:「おまえと闘ったら俺やばいかもな…。」
麗も、面白そうだから、と付いてきていた。
麗:「私お兄ちゃんを痛めつけるなんて、
できないよ~♪」
龍一:「この前、強烈な蹴り食らいましたが?」
麗:「あれはお仕置きです~♪。
お兄ちゃんがバカで鈍感だから。
お兄ちゃんのバカ!!」
べ~っと舌を出しながら言う麗。
どこか笑ってはいるが。
そんな麗に戦慄する兄妹。
真琴:「もぐらさんに蹴り当てるなんて…。」
亜衣:「やっぱり先輩、めちゃくちゃ強い…。
高校の時も、試合すればどんな大男でも簡単にあしらってたし。
…確か、有名な空手道場の師範代にも楽勝で勝ってた…。」
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