―プロローグ―

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君と往く 渡くんは大学の二年後輩だった。 将来の夢はカメラマン。 いわゆるカメラ小僧だった。 きっかけは些細なこと、当時から人より色が白く 変に目立っていた私は、化粧品やらなんやらのモデルの話を もちかけられることが多かった。 目立つことが苦手な私は、なにかと理由を見つけては断っていたのだが 渡君の誘いはなんとなく断ることが出来なかった。 「次の写真展に出す作品できみを使いたい。きみじゃなきゃだめなんだ」 強い瞳。 はっきりしたものいい。 有無を言わさぬ迫力に 「わたしでよければ」 そう気付いたら答えていた。 傍にいるうちに、彼の作品が好きになった。 物を作る姿勢が好きになった。 全部大好きになって、どちらからともなく 告白して付き合うようになって今月でめでたく三年目になる。 だけど…この頃悩んでいることがある。
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