―プロローグ―

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挙式の準備が整ったのは、三か月が過ぎてからだった。 「海外に渡る!?」  友達代表としてスピーチしてくれた千恵が素っ頓狂な声を上げた。  目はすでに真っ赤だ。 「うん、今度の個展が成功して、あちこちから声がかかってて  日本にいるより都合がいいんだって。付いて来て欲しいって言われちゃった。 「付いてくの?」 「うん」 「よかったぁぁぁ。また私の存在が邪魔になるとか変なこと言い出さなくて」 「私の性格読んでるよね、千恵ちゃん」 「当り前よ!何年の付き合いだと思ってんの!!」 「私ね、今まで大切なものを手に入れるのが怖かった。失った時に痛いから  諦めた方がいいと思ってたの。でもね」  私は微かに膨らむお腹を摩りながら言った。 「この子と渡君が、大切なものは大事にしなければならないって教えてくれた  の。  守ってく為に…」 「おーい、記念写真お義父さんが撮るって!!愛莉たち集まってー」 「はーい」  渡君の声に二人返事した。 これからもきっと、沢山苦労や困難が立ち塞がるだろう。 だけど今度こそ逃げずに超えて行こう。 あなたと、この子と共に―…。 ―END―
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