Memory

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 それからしばらくして、どうにも早坂がいじめられているということが本当だと聞いた。 あまり聞きたくない噂が二つほどくっついている。 進は「お前も大変だな」などと言っていたが、その言葉が噂が本当だと言うことを意味していないことだけを僕は願っていた。  早坂美波がいじめられている原因の一端を僕がもっている。  それが最近学年で噂になっていることだ。 男子の間ではこの程度のことしかわかっていないが、もしかしたら女子ならもう少しわかっているのかもしれない。 僕は今、この噂のせいでとても肩身の狭い思いをしていた。 「堂坂、久しぶり」 「うん、本当、久しぶり」  昼休み、いじめの主犯格である堂坂(とこれもまた噂で聞いたことであるが)に僕は会いに来ていた。 堂坂はいじめを行っているとは僕には到底思えない。 堂坂はいじめをしていると噂されている割には純粋な女の子であった。 「早坂のことなんだけど、いじめって本当なのか?」 「本当だよ?」  その言葉は僕に大きな衝撃を与えた。 首をかしげて言う堂坂の表情は笑っているが、その感情を読み取ることはできない。 だが、何か早坂に対しての怒りのような感情があるように見える。 「別に悪い奴じゃないと思うんだけど……どうして?」  そうきくと今度は感情を分かりやすく表した。 もしかすると堂坂は、僕がいじめに参加するために来たと思っているのかもしれない。 おそらく僕はいじめの理由を知っているものだと考えられていたのだろう。 「決まってるじゃん。あの子嘘ついてたからだよ」
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