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堂坂は確かにそう言った。
あまり信じたい話ではないが、この言葉はおそらく本当だった。
そうだとするならば全ての話が矛盾なくつながってしまうのだ。
噂で僕が原因といわれていたのも納得できなくもない。
「でもさ。この前諒君、早坂さんと話してたでしょ?
『なんで付き合ってもないのに一緒に帰るんだ?』って。
それをたまたま聞いてた子がいるの」
「……ありがとう」
部活には遅れてでも行くつもりであったが、僕はその日部活に行くことはなかった。
混乱がさらに大きくなっている。
細かな疑問がなくなったせいで逆に大きな疑問が浮き彫りになってしまった。
おそらく、早坂は嘘を言っていない。
あの時泣いていたのは嘘じゃない。
彼女は僕との関係はもちろん、僕との会話でも何も嘘はついていない。
全て本心からの言葉だった。だとするならば。
自分の知らないところで自分の記憶が書き換えられるというSF映画はよくあるが、現実は映画とは違ってただただ恐怖しかない。
書きかえられたかなんて知らないがそんなことは関係なく、僕の心は恐怖一色だ。
だがその中で一点だけ、早坂美波を心配する色があった。
噂は二つあった。一つは僕が早坂がいじめられる原因の一つであるということ。
そしてもう一つは、
彼女が昔、ひどいいじめを受け、自殺を図ったということ。
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