Memory

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「早坂美波だっけ?  聞いてみたけど、その人と仲の良かった人も、特別仲の悪かった人もいなかったよ。」  全員が全員、このような解答を持ってくるだけで、未だ求める解 答を手に入れられそうにはない。 「卒業直前までは性格あんまり明るくなかったらしいね。 そのあと急に明るくなって別人みたいになったって言うから、なにかあったのかも」  塾の友人からの情報はここまでにとどまった。  塾の帰り道、田んぼの水面に反射する蛙の声を意識の底のほうで聞きながら歩いていた。 夏も本番を迎えている。 部活の大会ももうすぐ終わるから、そうしたらもうあとは受験を残す限りである。 「こん、ばんは」  考え事をしながら歩いていたら、突然前から声をかけられた。 早坂美波であった。 前髪がずいぶん伸びていて以前とは印象が180度変わってしまっていた。 「こんばんは」
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