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「もう朝だよ、諒」
カーテンが開く音と同時に部屋に入り込んできた暖かな光で俺は目を覚ました。
大きく欠伸をして上半身を起こすと、お母さんが立っていた。
「おはよう」
言われて少し驚いた。
なぜ驚いたのか自分でもよく理解できなかったが、どうせまだ寝ぼけているだけだろうと結論付ける。
お母さんが手を口にあてた。そうかと思うと今度は突然僕の頭を撫で始める。
「なんだよ朝から。僕ももう中三なんだからさ、そういうのいいって」
「そんなこと言ったって、あなた……じゃあ、何で泣いてるの?
何か学校であったの? 辛いことあったなら言いなさいよ?」
人差し指で目元をぬぐうと確かに僕は泣いていた。
それもあくびで涙が出る、といったような量ではない。今も涙があふれ続けている。
「怖い夢でも見たの? ほら、お母さんに話してみなさい」
手で胸をさし示したお母さんはいつも通り心配性だった。朝からわけもわからず泣いている自分と、そして朝からいつも通り元気なお母さんに少しだけ呆れる。
「大丈夫だよ。別に、なんもないし」
「遠慮しなくていいのよ? 中学生だからって恥ずかしがらなくても……」
「本当だって」
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