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【メアリー】
みんな本当の自分になりたいの。
だから私が叶えてあげた。
鏡の前で口紅を引く。艶かしく鮮烈な赤。そして鏡にその真っ赤な口紅を走らせる。
『先に行ってるわ』
もうすぐ来るあなた、赤マント君。
情報を手に入れるのは簡単だった。
雨は人目も証拠も消してくれる。
でも、あなたが警察署に来たのは予想外。
「Sはあなたの為だったのに」
窓を開けると湿った空気が流れ込む。
今夜も街に雨が降る。
メアリーには2つの顔がある。
血を求めるブラッディ・メアリー。
性を求めるエイズのメアリー。
どちらも私。
男の天江開。
女のメアリー。
どちらも私。
『S』のカードを闇夜に投げて、私は自然にベランダの柵を越えた。
雨が降る日は思い出して。いえ、雨が降る日はきっとあなたは私を思い出すわ。
* * *
「あのね、雨の日に都市伝説の話をすると……殺されるんだって」
「何それぇ? てかさ、雨宿り中にそんな話するぅ?」
私はメアリー。
あなたはどんな都市伝説になりたいの?
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