rain of red

6/11
前へ
/11ページ
次へ
【鈴本隆夫】 「くそっ!」 第2の事件が起きた。 捜査は行き詰まっている。 そんな中、マスコミの報道だけが過熱。世間は次の事件を待っているかのようで、それがまた俺を苛立たせた。 「鈴本さん、口が悪いですよ」 相棒の北原杏が俺をたしなめる。 童顔で肩より長い髪を1つに結びグレーのスーツを着る彼女は、まだ若い刑事だ。 「すまん。だが都市伝説殺人事件だとか煽りやがって」 「でも犯人が都市伝説を意識している可能性はあります。最初の事件は人面犬を、2つ目の事件は口裂け女をモチーフにしているように見えるのは確かですから」 北原は冷静に話をする。 俺よりもずっと落ち着いている。 「問題は、それによって犯人が割り出せるのか、犯人の次の行動が予測出来るのか……ですね」 そのとおりだ。都市伝説になぞらえた犯行だとして、それがどこまで手掛かりとして重要視すべき事か。 手掛かりと言えば、マスコミに流していない情報がある。その意味も不明だ。 俺は取り調べ室のドアを開けた。事件に関する情報があると署にやって来た男に会う為に。 その情報提供者はポツンと立っていた。 「悪いね、部屋がなくて。座って」 男はペコリと頭を下げ、パイプ椅子に座る。 よれよれのシャツにジーパン。背は高く華奢。長く伸びた前髪が目にかかっているが、綺麗な顔立ちの男だ。年は20代半ばだろうか。 まずは互いに自己紹介する。 情報提供者の名は赤貝冬士。 「それで、情報というのは?」 椅子に座ると話を切り出した。 北原は横に立たせている。 「被害者は自分の管理するサイトのメンバーです」 俺は思わず息を飲む。 それが本当なら被害者同士が繋がる。 「たぶん犯人も……」 おいおい、こいつは一気に捜査が動くぞ。 もちろん、まずはこの話の信憑性を調べる必要がある。
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

18人が本棚に入れています
本棚に追加