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俺は赤貝から事情を聞き、メールの話で確信する。
こいつはマジもんだ。
何故なら、メールに書かれていた内容こそ、マスコミに伏せている情報だからだ。
被害者の近くにはカードが置かれていた。最初の事件では『A』、次の事件では『I』と書かれたカード。
しかし、犯人と警察しか知り得ない情報となれば、赤貝が犯人である可能性もある。
だが俺は「これ以上犠牲者を出したくない」と言った赤貝の声とその目を信じようと思った。
風貌から想像しなかった真剣さで、俺は単純にこいつを気に入った。
「そのサイトを見せてくれないか」
俺が言うのを待っていたように、赤貝は机に置いていたノートパソコンを開く。
赤貝が俺の方にパソコンを向けた。
北原も横から覗き込む。
黒い画面。
タイトルはUL会議室?
「これが君のサイトかい? ULとは?」
「Urban Legend、都市伝説の略です。メンバーはみんな、都市伝説のキャラクターを名乗っています」
なるほど、聞いた事ある名が並ぶ。しかし、スレンダーマンやメアリーってのは何だ?
「簡単にそれぞれの都市伝説を教えてくれないか?」
俺の質問に赤貝ではなく、北原が説明を始めた。
「赤マントは、昭和初期に語られた赤いマントを着て子供を拐う怪人。花子はトイレの花子さん。テケテケは、下半身のない女性の霊で両腕を使い這ってきます」
俺は少し驚いて北原を見る。
「スレンダーマンとメアリーは海外の都市伝説。スレンダーマンは、見ると死ぬとされる異様に細長い怪人。メアリーは、ブラッディ・メアリーとエイズのメアリーの2つの話があって、前者は鏡の中に現れ、後者は一夜を共にした後に“ エイズの世界にようこそ”と書き置きします」
淡々と続ける北原。
「ひきこは、雨の日、出会った者を肉塊になるまで引きずる女性。都市伝説が絡みそうな事件、これぐらい調査済みです」
澄まし顔で言われた。
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