第1章

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「栞ちゃんは結婚はまだなの?」 あと数年、いや1年もすれば、言われることすらなくなるのだろう。 そうなったらそうなったで、さみしいに違いない。 でも今は耳をふさいでいたい、その一言。 だからその質問には、薄ら笑いでごまかすのが、栞には精一杯なのだ。 とはいうものの、会社員として29歳の身を社会にさらしている者としては、そういった周囲の雑音を簡単に処理することはできなかった。
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