ー第1章ー

8/8
15人が本棚に入れています
本棚に追加
/21ページ
「たっだいまー!」 「おう、おかえり」 先ほどリンと別れ、グミは家に帰ってきた。 「もう、文字化け勘弁してよね!」 「悪い悪い、まあ、読めなかったらさっきみたいにメッセージで返してくれよな」 「めんどくさ・・・」 はぁ、とグミはため息をつく。 今グミと話しているのは、グミの兄、学。 今は大学生だが、高校生のころアメリカに留学をしていたこともあり、英語は得意中の得意である。 「英語なら教えてやれたのになぁ」 「仕方ないじゃん!今あたしが話したいのは『中国語』なんだからっ!」 「ふーん・・・まあ頑張れよ」 「えー!?何その気力ない応援!妹が今頑張って中国語を覚えてるのにー!!」 「ああ、泣くなって!わかったよ。頑張れ!」 「よし、いいでしょう」 「すげぇ上から目線・・・」 ふとグミはテレビをつける。すると、バラエティに今話題の中国人アイドルが出ているのを見つけた。 「ふーん、洛天依(ルオ・ティエンイ)か・・・」 年齢はグミとほとんど変わらないだろう。まだ、高校生くらいの少女だ。 「ミナサン、コンバンハ」 まだ不器用な日本語で、一生懸命話している。 「あたしも、頑張らなきゃ」 グミは、無意識に呟いた。
/21ページ

最初のコメントを投稿しよう!