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「一緒にNi-naに行くのは久しぶりだな。」
俊哉は嬉しそうに、車を運転する私の顔を覗き込んだ。
不倫関係になってからは一緒に出掛ける事がほとんどなくなっていたような気がする。
きっとそうなってしまったのは、お互いがこの関係が不貞なものだと自覚しているからだ。
そうじゃなければ、関係を持つ前と何も変わらないはずなのに・・・。
「アヤ、元気にしてるかな?」
平然を装い私が尋ねると、俊哉はタバコに火を点けながらこう答えた。
「あいつはいつも変わんないよ。
今日も緩い感じで酒を作ってるさ。」
変わりないという事は良い事だ。
どこかで歯車がずれてしまうと、もう今まで通りにはできない。
そして今の私が、まさにそういう状態に置かれている。
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