prologue

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見目は良し。 過剰なほどの自信家で、女には多分だらしないけどそこのとこはよく知らない。 意外に束縛するし、すぐ拗ねる。 つまり、結構子供みたいで時々メンドくさい。 ヤキモチ焼き。 の、くっつきたがり。 こう言っちゃうと、ほとんど良いとこなんて無いんじゃないかとさえ思うけど。 キスは、極上。 そんな男に、うっかり惚れた。 「春妃」 唇すれすれで、名前を呼んでくれるのが好き。 粘膜に近い、薄い肌が擦れ合うのがくすぐったくて腰が疼く。 「亨」 「ん?」 思えば、亨は私の気持ちなんて途中からちゃんとわかってたんじゃないかと思う。 それでも私が言い出すのを待っていたのは……暗黙のうちにそれが合図と決まってしまっていたのだ。 私が言葉にすることが、了承の合図だったのだ。 「好き」 途端、彼が動きをぴたりと止めた。
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