第1章・第1節 バーチャル世界

2/11
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/30ページ
時代は科学社会になる。この技術世界で僕は取り残されたように古いやり方で自分は先代から継いだ探偵事務所を今も尚続けている。 この時代には古くあまり使われていないPC、ボロが来たタンスやソファー、今ではもう見かけない。 この時代にそんな時代遅れな物ばかりがあるこの場所がベルナルド探偵事務所。僕が働いているところだ。 最近では外見も周りとの差が激しすぎて、化け屋敷や時代錯誤の置物探偵事務所、何て呼ばれたりするくらいに古い建物だ。正直何とかしたい。 眠たい目をこすりながら真っ白な予定帳を眺める「今日も真っ白、か」何時もと変わらない真っ白な予定表。 そろそろ小型電子携帯機器が欲しいものだが…仕事がない物のだから貯金が底を尽きかけている。最近では欲しがることをやめかけているありさまだ。 コーヒーを口に運びながら、ぼーっと時計を眺め秒針を追う。ええ、何時もと変わらない状態です。 この探偵事務所を誰かに知ってもらうために新しく外にポスター張りなおそうか。 しかし金の関係上転職か?考えをまとめながら何かないか部屋の道具をあさり始める事にした。 色々なもの音が鳴り響く中、最近ならなかった電話が鳴り響く。 ――prrr――prr ワンコール、もうワンコールとごちゃごちゃした部屋の中から鳴り響く。 「はい。探偵です」と、何時も通りのゆったりとした声を出しながら探偵事務所とお決まりな事を伝える。 電話から聞こえたのは少し若い男性の声。 「朝早くすみません、今御時間よろしいでしょうか?」 此方の都合を聞く紳士的な対応をされる方だ。 受けた感じだと礼儀正しく嫌気の無い方だと思い、話し方を徐々に変えながら受け答えする。 内容は数か月泊りがけのゲームでのバグセキュリティーの話。 そしておいしい事に探偵のギャラもくれ、尚且つバグセキュリティーとして一時的に今話題の【ネクストウォーズ】の本社に入社扱い状態となり給料がちゃんと出る話が来た。 【ネクストウォーズ】とは。 数年前に発売されたバーチャル世界で遊べるゲームらしく、発売されて物の一時間で専用小道具が完売し今もすごい人気があるゲームという認識しかない。 そして何より貯金が滝のように落ちて行ってる自分の現状をすべて丸く収めてくれる話。正直、こんなおいしい話はないと素直にそう思った。
/30ページ

最初のコメントを投稿しよう!