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冷凍しているご飯を解凍し、卵とネギとベーコンだけのチャーハンを作った。
在り合わせの野菜をサラダにする。
何となく続けているヨーグルトにアサイージュースをかけたものをテーブルに置いた。
「頂きます」
誰も聞いていないけれど、食材に感謝する挨拶は欠かさない。
食事中も片手には携帯。
親がいたらすごく怒られるだろう行動も、一人だと難なく出来ちゃうから困り者だ。
読んでいるのは大人の恋愛ものばかりではない。
ラブシーンなど全くない学園ものや、サスペンスも読むし、エッセイも読む。
こんなにも文章を読み漁っているのに、わざわざ書店や図書館に行って、書籍を手に取ることは稀だ。
手軽に試し読み出来て、あまり「文学文学」していない感じが携帯小説のいいところだと私は勝手に思っている。
しおりの数が半端ないので、更新分を探すだけでも時間がかかる。
……ちょっとこの話、展開読めちゃうな。まあいいけど。
……わーっ!!ここで終わるの?続きが気になるっ!!
……あー、もうすぐ完結しちゃう、寂しいなあ。
目を通しながら、くるくると感情が動く。
この感覚が私の生活の潤いだと断言してもいい。
お行儀の悪い食事が終わる頃、携帯のバッテリーが尽き始めた。
仕方なくプラグを繋いで充電。
その間にシャワーを浴びちゃおう。
手を合わせて「ご馳走さまでした」と呟くと皿を持って立ち上がった。
よほど疲れていたら入浴剤を入れた湯船でゆっくり体を暖めてマッサージしたりするが、今日はそうでもないのでシャワーで済ませた。
段々と秋が深まる気配。
寒さに湯船が恋しくなるのも時間の問題かもしれないな。
湯上がりに一瞬だけ震えた体をタオルで拭いながらぼんやり思う。
ミネラルウォーターをコップ一杯飲み干す。
皿を洗ったら、今着替えたばかりのパジャマの捲った袖が落ちてきて濡れてしまった。
少しブルーな気持ちになる。
着替えるのも面倒でそのまま我慢して、寝る前に軽くストレッチ。
……どれか更新されてないかな
明日のことを思えばもう寝なくてはならないのに、また携帯を手に取ってサイトのチェック。
新しく気になる話を見つけたら、最新話まで一気読み。
時間がヤバイ、そう思いながらもまた妄想の世界に浸りきる。
そうやって今夜も丑三つ時を過ぎてから眠りにつくのだ。
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