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「なぎー!」
自分を呼ぶ声に振り返ると、手を振る友達がいた
「楓(かえで)どうかしたの?」
私は楓のところに行くと、困った顔をして
「歴史の教科書忘れちゃったの、貸して!」
と、顔の前に手を合わせて言った
「あ、いいよ。今持ってくるね。」
私は、自分の教室に戻って、机の中から歴史の教科書を取り出した。
「ありがとー!」
移動教室に行くところで、教室からはそんなに離れてなかったし良かった。
「ううん。」
「あ、3組は次移動教室でしょ?もうすぐ予鈴なっちゃうよ。」
「え!?」
自分の教室を見ると、誰もいなかった。
「やば!行かなきゃ!」
私は、楓に手を振って移動教室の場所に向かった。
今年の春、中学1年生になった。
杉浦・なぎ
顔が可愛いとか、モテるとかの良いとこは特にない、平凡な私。
まぁ、変わってるとこといえば、一人を好むとこと恋に興味がないとこ。
友達はいるにはいるし、ぼっちって言う訳でもない。
でも、上辺だけで親友みたいな、深くまで関わりたいとは思ってないし、そういう人はいない。
楓もその一人。
恋とか、そういうのも好きじゃない。
よく恋の話をされるけど、どうでもいいし。というか、絶対めんどくさい。
「はぁ~。」
移動教室には、間一髪間に合った。
かなり急いで走ってたから少し暑い。
友達なんて、そんな続くわけない。
一生親友とか、馬鹿みたい。どこかで別れが来て、1年経てば忘れて。そのうちまた新しい友達ができる。
その繰り返し。
だったら、最初からある程度の線を引いといたほうが楽だと思う。
ましてや、恋なんて邪魔なものだ。
まだ5月の中旬なのに、廊下にはイチャイチャしてる人がいるけど、何日かすると
「彼が、あーだこーだ」
とか、喧嘩したとかで悩んでるなんて馬鹿みたい。
喧嘩するなら、付き合わなきゃいいのに。
私には、理解ができないことだった。
そんなことより、勉強に集中しなきゃ。
だから、私には恋なんていらない。
もともと学年の男子にも興味はないし。
うん、それが1番。
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