バスケットボール

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しまった。 と思った時には、もう遅かった ガッシャーーン! 橋本くんが座っていた椅子が倒れる音がした なぜか、床に落ちたと思ったのに 下は固くなくて、 むしろ、柔らかくて生温かかい。 「い、、いたたたた」 そして、目の前で男子の声がして ま、まさか、、、 私は、ギュッと瞑ってた目を恐る恐るあけると― 私の目の前には、橋本くんがいた。 いや、正確に言うと 私の下敷きになった橋本くんがいた そして、私は 四つん這いになって橋本くんに覆い被さっていた。 静かな保健室には、倒れた椅子のローラーが回る音だけが響いている。 心配そうな目で、見る橋本くん 「す、杉浦さん?」 橋本くんの声で、我に返って上からどいた。 「あ、ご、ごめんなさい」 初対面の人と、こんなことになるなんて しかも、男子。 気まずい空気に、顔を窓に向ける あたま、、、痛い。 「大丈夫!?」 顔を背けたばかりなのに、私の前にきて顔色を伺ってきた。 しかも、微妙に近いし。 「だ、大丈夫」 授業、、、。 ベッドの柵に掴まって立って、保健室から出ようとすると 「もう少し寝てたら?」 後ろから、橋本くんの声がして。 「いい、授業あるから」 私は、振り返ることなく保健室を出た 最悪最悪最悪最悪。 さ、い、あ、く! 男子にあんなこと、、、。 思い出すだけでも、鳥肌が立ってきそうになる あの人ー、 橋本くん、誰にも言わなきゃいいけど。 まぁ。これから関わる機会なんてないし。 大丈夫か。 うん、大丈夫。 そういうことにしとこう。 廊下の端に転がっていた、真新しいオレンジ色のバスケットボーを蹴った。
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