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「良いかい?じゃあウサギはどう逃げてるか解るかい?」
半兵衛さんの言っている意味が今いち良く解らないが取り敢えず思った事を素直に答えた。
「ピョンピョン飛び跳ねて逃げてますけど。それが何か?」
「ふふ。彩夏?確かにそうだけどウサギはどの方向ばかりに逃げてるか気付かないかい?」
「えっ!どの方向ばかりに……ですか」
半兵衛さんに言われ今一度チビ太を見た。
見ると相変わらず草を可愛いらしく食べてるチビ太。
しかしそのチビ太を見てある事に気が付いた。
「チビ太のが上に居る……私より高い位置に……」
そう呟いたのを聞いた半兵衛さんはニコリと笑い頷き言った。
「そうだ。良く気が付いたね?ウサギは常に彩夏の上へ逃げてるんだ。つまりは……」
「登り坂!!」
半兵衛さんが言い切る前に解った私は叫び答えていた。
「正解だよ。そして、それが何故かを考えれば捕まえる方法は直ぐに閃く筈だ」
そう言った半兵衛さんは「頑張りなさい」とは言わなかったが私の頭をもう一度撫でて微笑んだ。
その事だけで言わずとも応援してくれてるのが半兵衛さんの優しい手の温もりから伝わった。
そして半兵衛さんにヒントを貰いチビ太を見てジッと観察した。
何かが掴めそうな……そんな気がした。
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