竹中だけど竹中じゃないです!

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半兵衛さんの言った「何故登り坂」かは解らないが私の中にある答えが導かれた。 「逃げるチビ太を今度は下り坂に追い込み捕まえてみよう」 そう思い立ち再び立ち上がった。 そして登り坂に居るチビ太目掛け一気に走った。 チビ太は私がまた来た事に身体を「ビクッ」とさせてから後方に振り向き逃げ出した。 そして私は逃げ出したチビ太が私に背中を向けた瞬間に「今だ!」とばかりに横の草木の茂みに飛び込み隠れた。 完全にチビ太の視界から消えた私は忍び足で茂みから上に登った。 そしてある程度登った所で茂みからチビ太を探した。 すると…… 逃げるのに私に背中を向けたチビ太は私が居ない事に気付き不思議そうにキョロキョロして止まっていた。 それを見て作戦が成功したと思い更に上に登り完全にチビ太より高い位置に陣取った。 「フッフッフッ。チビ太?今度こそ捕まえるわよ!」 そう心の中で笑いながら言った私は勢い良くチビ太の後方……つまりはチビ太より上に飛び出して一気にチビ太目掛けて坂を下った。 いきなり自分の背後に現れた私を見てチビ太は身体をまた「ビクッ!」とさせて今度は下り坂の方へ逃げ出した。 すると不思議な事に今度はチビ太との距離がどんどん縮まり、捕獲圏内まで突入していた私は手を伸ばしチビ太を……捕まえた! 「や、やったぁ!捕まえた!父上捕まえましたよ!」 自分でも捕まえられた事に驚いたが嬉しくてつい叫びチビ太をギュッと抱きしめていた。 そのチビ太は観念したのか大人しく抱っこされ半兵衛さんは「見事だ」と微笑んで誉めてくれた。 「うん。私の期待を遥かに超える結果だ……彩夏ならば」 喜ぶ私を見て、そう言った半兵衛さんの意図は解らないが、今は素直に嬉しく私はチビ太と戯れていた。     
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