竹中だけど竹中じゃないです!

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桜も咲き乱れる今日この頃。 そのピンク色に続く道を歩いていると、ふわりと暖かな風が私の頬を優しく撫でた。 「春ですな……春かぁ……春だよねぇ」 一人言を呟き何故か春だと浮き足だつのは私だけだろうか。 ほら、あれだよね春は調度良い暖かさで心を落ち着かせ……且つ授業中の眠気をMAXにしてくれるじゃない?だから好きなのかもしれない。 そんな、どうでも良い様な事を考えながらピンク一色の道を歩き登校していると…… 「ちょっと邪魔くさい!どけて!避けて!華麗に!!」 突然の無茶振りな叫び声に振り向いたら…… 「げっ!!ちょっと馬鹿!右にハンドルきれ!私は左に避けるから!」 背後から下り坂を猛スピードでチャリで飛ばし迫る女に身の危険を感じ慌て叫んだ。 「右ね了解!!」 「そう右よ!私は左に!!」 咄嗟に判断し指示を出せる程、私の頭は春のお陰で冷静だ。 しかし! 「ごめん無理!ブレーキ壊れてるし速すぎてハンドル操作無理!」 「はぁぁぁぁっ!!先に言え!!」 揉めても彼女の姿は近くなる一方で一刻の猶予もなかった。 「仕方ない……私は避ける。そして貴女の無事を祈るでオッケーですね?」 「ノー!ヘルプミー!私の勢いを止めるのは貴女しか居ない!止めてみなさいよ!やれるもんなら!」 「何故ライバルぽく言われてるのか解らないけど……止められるか!私は女の子!オッケー?」 「私も女の子!オッケー?」 おうむ返しする阿呆な女を助ける気など起きないが……私が止めなかったせいで死なれても困る。 そう考えると無視出来ない優しい自分を怨んだ。 「これも春のせいか……」 そう呟き至近距離まで迫った女をギリギリで交わし引きずり下ろす作戦を実行する。 「1、2の3!!」 ノーマルなリズムを刻み私は彼女の腕を掴み一気に引っ張った。 「きゃぁぁぁ!」 その彼女の悲鳴と共に私の意識は飛んだ……
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