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得月院さんと話していたら半兵衛さんも来て得月院さんの隣に座り三人で色々な会話をしては笑った。
戦国時代に飛ばされたのに何だか二人と出逢った事で不思議と少しも寂しくなかったし怖くもなかった。
そう思っている私に向かい半兵衛さんが急に真剣な顔になり言った。
「彩夏殿?彩夏殿は生まれてから親も無く一人だったと?」
「……はい。そうです」
何か一気に重たくなった空気に怯んだ。
「ならば親になりたいのだが、どうだろうか?」
「えっ!……親子になると言う事ですか?」
「そうです。幸い私達には子は居ません。いかがですか?本当の親が見付かるまででも良い……これは私達のお願いです」
「お願い……でも私何かが子になっても何の得にもなりませんよ?」
慌て言うと得月院さんは笑顔で……
「そんな事はありません。こんなに可愛いらしい娘が居たならどんなに幸せか……」
得月院さんに言われると凄く弱くなる私。
きっと自分の母親と重ねると得月院さんの方が、理想の母親にドンピャ何だと感じたのかもしれない。
だって家の母親は……
「彩夏!勉強したの!たまには風呂掃除しなさい!たくっ!女の娘なんだから、たまには料理の手伝いしたら!?」
毎日が私の駄目出し。けど得月院さんは「優しい」が何にもしなくても溢れ出ていて伝わる。
「これぞ理想の母親!私の本当の母親は戦国時代に居た!」
そう思って喜んだ私は即答した。
「なります!私今日から娘です!宜しくお願いします!」
「良かった……」
私の返事を聞き二人は安心したのか嬉しそうに笑っていた。
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