竹中だけど竹中じゃないです!

9/16
前へ
/133ページ
次へ
戦国時代の竹中家の一員になった次の日の朝…… 「彩夏?彩夏?」 寝ている私に優しく声をかける誰か。 「…………」 起きたが敢えて狸寝入り。 その慈愛に満ちた優しい声を聞くたびに身体の力が抜けまた起こされたくなるから。 「もう!起きなさい彩夏?」 「はい」 これ以上は流石に怒られると思い目を開け起こした人物を見た。 「おはよう」 そう言って笑っていたのは昨日から母親になった得月院さんだった。 「おはよう……ございます母上」 どうにも言い難いが「お母さん」と昨夜に呼んだら半兵衛さんから…… 「母上、父上と呼ぶ様に」と言われた為に、そう言っている。 どうやら、この時代では皆が自分の両親にはそう呼ぶらしいのは昨日、美濃の町に出て気付いた。 だから浮かない様に……怪しまれない様にこの時代の言い方に合わせて、そう呼ぶ事にした。 「あの……母上?少し朝早い気がするのですが……何かあるのですか?」 「朝は父上と狩りに出掛けなさい」 「狩りに……って何をです?芝刈りにとか?なっちゃって……」 冗談が通じるのか試しに言ってみたら…… 「もう彩夏は。ふふ」と笑ってくれた。 これ!これが母親です!私が追い求めた理想の母親像。 家の母親ならば…… 「つまらん事言ってないで勉強しなさい!」 そう返ってくる事10回試して10回。 それが得月院さんは1回中1回のいきなりの高確率で私の母親に望む返事を返してくれた。 「戦国時代最高!」と思わず万歳していた。 「何してるの?」そう流石の得月院さんも苦笑いで万歳する私に突っ込んだ。 初日から苦笑いされたが私の戦国時代での竹中家での生活一日目がスタートした。
/133ページ

最初のコメントを投稿しよう!

681人が本棚に入れています
本棚に追加