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「その方は嫌な方でしたの?」
先を促す先輩が、そっと手を重ねた。
「いいえ。とても親切で、素敵な方でした。........そんな方に、子供をあやすように扱われたのも恥ずかしいです、し........私、弟しか周りに異性がいないので上手く話せなくて呆れられたに決まっています」
目の奥がじわりと熱くなった。
困ったように笑う高坂さんを思い出したから。
「まあ、それでは須藤さんはその方のことが好きな風に聞こえますわ」
「そんなこと!
私、そんなことは。
ただ、慣れていないからドキドキしているだけで、
........夏の休暇に食事に誘われているんですが、私きちんとしていられるかどうか心配で。」
「お幾つなの?お相手の方は」
「来年就職されるそうなので、今年二十二歳だと思います。」
先輩は、ふっと息を漏らした。
「それなら、ご両親もすぐに結婚だなんて仰らないわ。もし、当人同士が恋人になったとしても、お相手の方もお勤めされて二、三年は無理じゃないかしら」
「先輩!結婚なんて!」
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