406人が本棚に入れています
本棚に追加
「あれ、それと一緒のヤツ」
「え?」
「これです。これ付けてました」
俺が指差したのは花びらのようなモチーフのペンダントだった。
「こちら、ですか」
「うん。これこれ、一緒だと思う」
「……」
ペンダントをじっと見つめる森下さんを不思議に思い「あの?」と声をかける。
「あ、すみません。…そうですか…当店にお越し頂いた事があるのかもしれませんね」
そういえばこの店オリジナルだって言ってたな。
透明のガラスケースに乗せられた指輪にしようかな、なんて思ったところへ
「リングでしたら裏にお名前入れられますよ。イニシャルでも」
「うん、じゃぁそうしようかな。名前も入れてもらおかな」
それでは、と紙とペンを渡され彼女の名前を書くように言われた。
「HIKARI」と書いて、やっぱりイニシャルにしようかと顔を上げて森下さんを見ると、俺の手元を凝視している。
「彼女さん…ヒカリさんって仰るんですか」
「は…い。え、どうかしました?」
さっきから感じてた森下さんのおかしな様子が確信的になった。
「あの…お客様、その…光さんの苗字…宮野、ですか」
「えっ。光のこと知ってるんですか?」
驚く俺。
だけど目の前の森下さんはもっと驚いていて、目を見開いたあと、目を伏せた。
最初のコメントを投稿しよう!