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嬉しくて舞い上がった気持ちがスーッと落ちる。
そうだ。それが普通だよな。
普通って……
なんだ。
思い巡らせていると、突然肩に触れる手。
「肩、力入ってるよ?肩凝るから」
言いながらゆっくり撫でて、グイッと親指に力を入れる。
「うぁっ」
痛気持ちいい部分に入って力が抜ける。
「俺まあまあ上手いよ。空手でよくやってたから」
あぁ…
だからスキンシップに抵抗ないのか
絶妙な力加減で肩を揉む大樹の手が、ふと止まって、それから俺の髪に触れた。
「フワフワしてる」
そっと触れる感触にゾクッとして、そして首から上が熱くなる。
「湿気…」
「あぁ」
なるほど、と納得してまだ髪を触る。
俺はきっと耳まで赤い。
「雨、止むのかな」
ふわふわと手で髪を弄びながら言う。
「どう…かな」
「コレ終わっても止まなかったらウチ泊まりなよ」
「………」
「浩平くん?」
「……うん」
あぁ、誰か俺の手を縛って。
今にも大樹に抱きついてしまいそう。
それからは映画なんて一つも目に入らなくて、全く怖がらなくなった俺を大樹は少しだけ不思議そうにしてた。
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