第5章

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嬉しくて舞い上がった気持ちがスーッと落ちる。 そうだ。それが普通だよな。 普通って…… なんだ。 思い巡らせていると、突然肩に触れる手。 「肩、力入ってるよ?肩凝るから」 言いながらゆっくり撫でて、グイッと親指に力を入れる。 「うぁっ」 痛気持ちいい部分に入って力が抜ける。 「俺まあまあ上手いよ。空手でよくやってたから」 あぁ… だからスキンシップに抵抗ないのか 絶妙な力加減で肩を揉む大樹の手が、ふと止まって、それから俺の髪に触れた。 「フワフワしてる」 そっと触れる感触にゾクッとして、そして首から上が熱くなる。 「湿気…」 「あぁ」 なるほど、と納得してまだ髪を触る。 俺はきっと耳まで赤い。 「雨、止むのかな」 ふわふわと手で髪を弄びながら言う。 「どう…かな」 「コレ終わっても止まなかったらウチ泊まりなよ」 「………」 「浩平くん?」 「……うん」 あぁ、誰か俺の手を縛って。 今にも大樹に抱きついてしまいそう。 それからは映画なんて一つも目に入らなくて、全く怖がらなくなった俺を大樹は少しだけ不思議そうにしてた。
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