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「……アイツの魔法が解けたんだな」
雨がやんでアリトも安堵の表情を浮かべる。
「ありがとう……」
ギュッとアリトに抱きつきミオラはお礼を言う。
「あ?」
いきなり抱きつかれアリトは戸惑う。
「町を救ってくれて……お父さんの仇を取ってくれてありがとう……」
目からボロボロと涙を流しミオラはアリトにお礼を言った。
「負けん気が強くって勝気ででも凄く仲間思いで情熱的なとこ、そっくりだな」
そっとミオラの涙を拭いながらアリトは言う。
「でもあたしは勇者にはなれないもん」
グッとミオラは握り拳を作った。
「勇者ってのはな、何かが秀でて凄いってもんじゃないんだ。
仲間を想う強い心と信念。
そして兵(つわもの)の心を持つ奴が勇者なんだよ。
だから誰でも勇者になれる。
俺もアンタも」
ミオラの握り拳をそっとほどきながらアリトは優しく微笑んだ。
「……そうだね」
相槌を打ちながらミオラはゆっくりとアリトから離れた。
「謙虚で素直なとこは母親譲りだな」
ミオラの姿を見てアリトは目を細める。
「お母さんも知ってるの?」
アリトの言葉に目をパチパチさせるミオラ。
「勿論だとも。
一緒に旅をした仲間さ」
意を決したようにアリトは本当のことを話す。
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