てるてるぼーず。

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「そう。 ごめんなさい。 王子様と知らずに無礼な事を……」 無礼講をミオラは謝罪した。 「気にするなって。 さてと、正体ばれちまったから俺は王宮に戻るかな。 の事も辛いが報告しなくてはいけなしな」 そう言ってアリトは剣を片づけた。 「色々ありがとう」 アリトをジッと見てミオラはお礼を言った。 「いや。 俺は何もしてない。 アンタの気持ちがこの町を救ったのさ」 お礼を言われアリトは困惑している。 「何かお礼を……」 お礼をしないとミオラは気がすまないらしい。 「礼はいらない。 あ……」 何かを思い出したようにアリトはミオラの家へ走って行った。 そして何かを手に戻ってきた。 「それは……」 アリトの手に握られたものを見てミオラは驚く。 「アンタの願いがこもったコイツをもらう。 OK?」 ミオラが作ったてるてるぼーずを片手にアリトはニコニコしている。 「うん!」 ミオラは力強く頷く。 「じゃあ、元気でな!」 てるてるぼーずを大事そうに握りしめアリトは満面の笑みを浮かべる。 「……待ってるから」 アリトを真っ直ぐに見ながらミオラは言う。 「あ?」 ミオラの言葉にアリトは首を傾げた。 「またこの町に来るの、待ってるから!」 ミオラは名残惜しそうに言う。 「あぁ! いってきます!」 ミオラの気持ちを察したアリトは手を振りながら去って行った。 「いってらっしゃい!」 ミオラはアリトの姿が見えなくなるまで手を振り続けた。 「若き賢王」 一人の町人がボソリと呟く。 「ん?」 その呟きにミオラは耳を傾けた。 「彼の異名です。 10年前、まだ10歳だった彼が魔王討伐のメンバーになったと聞いた時は国民皆驚きを隠せませんでした。 今なら彼の強さがわかるような気がします」 アリトの強さを目の当たりにした町人はしみじみと言う。 「10年前……か。 まだあたしが5歳の頃だね」 この頃、両親が魔王討伐に出かけて行った事を思い出していた。 「幼い頃なのできっと賢王の事も知らなかったのでしょう」 補足するように町人は言う。 「賢王……か。 ぴったりね。 難しいと言われる魔法と剣術を混ぜた『魔剣』を使えるんだもの。 それにアリトはあたし達のヒーローだもの」 晴れ渡った空を見上げミオラは言う。 ミオラは思った。 このまま平和な世の中が続くといいな。 そして……。 お母さんに早く会いたい、と。
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