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「最近、邪気が乱れてるらしいの。
お父さんが言ってたもの、間違いないわ」
コクリと頷きミオラは真っ直ぐにアリトを見た。
「お前の親父は魔物に詳しいのか?」
ミオラの確信に満ちた発言をアリトは不思議に思う。
「……数年前、魔物の暴走が起こった時に魔王討伐をしたメンバーの一人よ」
言いにくそうにミオラは答える。
「ほぅ。
英雄ってわけか。
それにしてもこの町には魔物に襲われた形跡はないな」
魔物に襲われた痕跡もなく綺麗な町にアリトは少し驚いているようだ。
「だからお父さんが命がけで守ったって言ったでしょ?」
ムッとしてミオラは言う。
「まさか……。
自分を犠牲にして全てを守る禁断の魔法を使ったのか?」
アリトの中によからぬ事が過った。
「そうよ……」
静かにミオラは頷く。
「そんな偉大な魔法を使えるのは勇者のみと聞いたことあるが……」
気難しい顔でアリトは何か考え込んでいる。
「ちょっと貴方。
根掘り葉掘り聞きすぎじゃないかしら?」
あまりにも色々聞いてくるアリトにミオラは警戒している。
「面目ない。
俺もちょいと人を探しててね……」
ポリポリとアリトは頬をかいた。
「人探しならほかでやった方がいいわよ?
この町は人里離れたとこにあるし、旅人何かそうそう来ないから」
嫌そうにミオラは言う。
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